子育ての中でも意見の分かれるのが『子供にどのようにどれくらい我慢をさせるか』ということでは無いでしょうか。
私は子供が小さい頃、それなりに厳しい子育てをしていました。
その中でした大きな失敗があります。
不運が重なって長男(当時・小3)が不登校になり、次男(当時・年少)はまだ幼く、どちらの子にも親の手が必要な時期でした。
母親一人での育児は子供への精神的な負担が大きく、次男はいつの間にか我慢を通り越して、
『どうせダメなんでしょ』
と諦めを言い始めました。
このままではいけない!
危機感を感じ、子供が我慢しすぎず、自分の欲求や考えを言葉で伝えることは出来ないかと考えました。
Contents
子供が身につけるべき我慢ってどんなもの?
子供にとって必要な我慢の要素にはどういうものがあるでしょうか。
・喧嘩をしても仲直りできる
・人のおもちゃを取らないで遊ぶ
・遊びの途中でも必要なお手伝いをすることが出来る
・お腹が空いてもつまみ食いせず食事まで待てる
・やりたくなくても宿題を自主的に始められる
いつも全てが完全に出来なくても、その日その日で、ある程度の我慢をすることで、だんだんと忍耐力も身についていくと思います。
子供がしてはいけないのはどんな我慢?
我慢にはしてはいけないものもあります。我慢をし続けることによって、自分の感情が無視されるのが当たり前だと思うようになる我慢です。
例えば、
・いじめなどされたくない事をされても我慢する
・身体や心の具合が悪くても我慢する
・困りごとを相談せず我慢する
・好きなものも言い出せず我慢して諦める
などです。
してはいけない我慢をしすぎた子は『助けて』とか『困っている』といった自分の感情を表現するのが苦手になります。
必要な時に必要な助けを求められず、深く傷ついてしまい、心を閉ざしたり、他者の言動に振り回されて自分の欲求を感じられなくなり、自分をないがしろにされても仕方ない存在だと思い始めます。
それは良いことで有るはずはありません。
次男が「どうせダメだしもういいよ」といった言動を取り始めて、自分としては頑張って居たけれど、こういうことも問題を抱えた家庭の兄弟の間で起こるのかと責任を感じました。
病気や不登校などが起こると、親はその対応に追われます。本人意外の兄弟はそんな親や兄弟の様子に我慢を繰り返していていきます。小さな我慢でも積み重なると自分の思いを表現することが難しくなるのです。
子供が我慢しすぎないようにするにはどうすればいいの?
私がやってみたのは、子供らしい小さなわがままを叶える機会を作るということでした。
いつもの買い物の時間を活用して、です。
それまでは一つくらい買える程度の値段を決めていたお菓子を、
「◯円(倍の値段)まで大丈夫だから、選んで来てね」
と送り出します。
数十円の違いでも、お菓子売り場で子供は悩みに悩みます。
始めの頃はまだ、ぎりぎり買える値段の一つを買おうと頑張ります。
もちろん決まるまでに随分待たされますが、親も我慢して待ちます。
そのうちに、限度ぎりぎりまでいくつか買っても良いかと質問が来ました。
もちろんOKです。
子供はいくつかの組み合わせで上手に選びました。
私は少しホッとしていました。
子供が自分の意見を言って、相談し、叶えられた瞬間でした。
それからは、
「少し値段が高くなるけれど良い?」
とか、
「今日のお金を取っておいて明日あれ(お菓子意外のもの)を買っても良い?」
という感じで相談を持ちかけられることが増えました。
もちろん、約束の範囲内であれば、
「いいよ」
です。
子供らしい小さなわがままを叶える機会を作ってあげ、その機会を増やしていくと、子供の心は自己否定をやめていきました。我慢しすぎて欲求を出せなくなっている子供には、それまでに味わった不可能を書き換えてあげることが大切なんだと知りました。
子供の心は大人に比べればまだ柔らかで素直です。
育てる側が、子供の心をまず受け止めて、小さな我儘について子どもと相談して叶えてあげる。すると子供の承認欲求は満たされる。この場合、叶える前提で話し始めておくことが必要ですが・・・。
正しい我慢を獲得するための前提条件をまとめると、大きく2つあります。
・親は、子供の意見や気持ちを聞き、受け止める
・子供は、希望することを『言葉で伝え』『相談し』『叶えられる』体験を繰り返す
この前提条件をそれぞれが癖づけることで、子供が自分から考えて行動し、今よりも大きな欲求にも話し合いを通じて叶えるんだということを理解して、行動できる時が来るのです。
自分の欲求や要求を親にどう話し、どう相談するかを考えて、自ら話をしてきたら、成功です!
我慢しすぎない子供に育てるメリットはなに?
我慢しすぎたことで卑屈になり始めていた次男(現在・小6)は、小さなわがままを叶えることを続けたことで、最近では自分の欲求を素直に出せるようになり、話し合って決めるようになりました。
間違った我慢をさせてしまい、自分の身に起こったことを言えず、不登校になった長男(現在・高2)には本当に申し訳なかったと思っています。そんな彼も今では、弟につられるようにして自分の気持を表現する努力をしています。
我慢しすぎない子供に育てることで得られたことは、
・小さなことでも自分から相談できるようになる
・大きな大切な事を話し合えるようになる
・自分の気持と同様に他者の思いを受け止められるようになる
・自立した考えを持つようになる
・お互いを応援するようになる
ということでした。
今では、我慢のさせ方を考え直して本当に良かったと思います。
これから先、子供達が大人になれば自分では対処できない大きな出来事に見舞われることも有るはずです。
そんな時、我慢し過ぎず、親だけでなく信頼できる他の誰かにも相談できるようなってくれるように、言葉で表現する癖を日々の生活の中で身につけておくことが必要だと思います。
まずは小さなことから始めて、子供が相談することを当然とし、相談することを怖いものにしないことが大切です。
まとめ
我慢が出来ることは必要であり、素晴らしいことです。
けれど、してはいけない我慢もあります。
子供は大人が思うよりも繊細に大人の言動を受け止めて、考えを巡らせています。そこに何度も、してはいけない我慢が課せられると子供は自分の評価を下げてしまいます。
子供が自分で自分を守れるようになるためにも、この先の育児でも、
『言葉で伝え』・『相談し』・『叶えられる』
ということを繰り返し、してはいけない我慢をしないように教えていきたいです。
必要な『ヘルプ』のサインをいざという時に出せるようになるために。